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oniondiary | 日記。時々映画やドラマや小説のレビュー。最近はなんとなく毎日書いてますが無駄話多し。

小説「11/22/63」読了。



アメリカのドラマを見るときや、小説を読むとき、思い出すエピソードがあります。
前にも書いたかもしれませんが、メジャーで活躍した松井選手のこと。
わたしは別に彼のファンではないし、プレースタイルも好きではありません。つか、「元巨人選手」ってだけで、お断りさあ!<最低のアンチ
だけど、一つだけ忘れられないのは、彼のドキュメンタリー番組で出ていた彼のファンだというアメリカの少年。
彼の母親が言います。
「この子は引っ込み思案で、おとなしすぎるんですが、松井選手が大好きなんです」
言動も控えめで、自らを律することを重んじ、チームプレイに徹する松井選手に憧れているとか。

アメリカは、「求めよさらば与えられん」が普通で、「求めぬ者には何もなくて当然」な、超合理主義社会らしいと聞きます。
それって例えば、一つだけしかないお菓子を、自分は我慢して友人にあげることは、日本では「よく譲ることができたね」と褒められても、アメリカでは「いらなかったんでしょ」と判断される?
ということは、万事控えめで欲をオモテに出さない性格の人間は、どんどん置いていかれるということになるのでしょうか。
そんな社会で、この松井ファンの少年には、既にかなりの「損なエピソード」がたまっている気がして、胸が締め付けられるようでした。
チャンスはモノにしなければ、という競争社会で、控えめな子が生き抜くのは大変そうです。

じゃあ、アメリカという国は「積極的な人だけが生き残る」だけの社会なのか?
警察がいなかったら盗みをするのが当たり前? 
手に入るものはなんでも手に入れろ?
裁判で勝ちさえすれば、罪はなかったことに?

……それを律することができるのは、もはや宗教くらいしかないのかもしれません。
その神も、今のアメリカは様々なわけですが。
無神論者という宗教の人もいますしね。


さて。前置きが長くなりましたが、この小説。

アメリカがキリスト教の国だった(今も?)55年から63年までが主な舞台、人々はそれと知らず平和に暮らしています。
田舎道を歩く人には車が停まり、気軽にヒッチハイクさせてくれる。
見知らぬ人にもすれちがいざま笑顔をかえす。
納屋や地下室に鍵をかける人は稀。
それどころか勝手口まで鍵なしの家庭も多い。

でも。

学校の生徒はみんな白人。
バーも、トイレさえ黒人と白人は別。
どこでもタバコを吸い放題(これはタバコ好きには天国かも)。
家庭内暴力も日常茶飯事。
救出プログラムなどない。
生まれた時点で、人生の大部分が決まってしまう社会。

その中で現代人(2011年時点で30代)の主人公が、なんの為に行動するか……

自分が救える可能性のある人を救いたい

という、わたしのイメージするアメリカ人からはちょっと離れた、なんという「無辜の人」であることか。
どうにも現実感がなくて、最初の辺り、正直読むスピードは遅かったです。
キングと言えば、「襟首をつかまれて『読め』と強制される」ような、強制的に読まされていると感じるほどの「ヒキ」、これが今回全く感じられなかったので、思ったのは……これは、

テレビドラマの原作を狙ってる?

ってことで……「アンダー・ザ・ドーム」がどうみても連ドラ向けではないのにあんなに変に伸ばされているのをみて、もっとスパンの長い物語なら、連ドラにしても面白いのではないか、と考えた……みたいな、うがった見方をしてしまうほど、なんつーか、その昔の「逃亡者」風味。
と思っていたら、本当に後半、
「まるでTVの『逃亡者』みたいだな」
みたいなセリフが出てきて笑ったわけですが、そのくらい間延びした導入でした。

大体タイムスリップのネタ自体が古いと言うか単純と言うかわたしが中坊の頃ノートの端っこに書いた青臭いSFと同じニオイがするもので……SFファンから失笑をかいそうで、余計にそう思ったのかもしれません。

とにかく主人公の人となりがよくわからなくて。
教師で、妻がアルコール依存症になった挙句にリハビリ施設で出会った男と家を出て、教師として出会った「悲劇」をリセットできるなら、と過去へ向かう……そしてケネディ大統領の死が防げるならと過去で8年過ごせるほど、現代にあとくされのない人って、そんなにいるでしょうか。
たとえ旅から戻ったら、たった二分しかたっていなくても、自分自身は8歳も年を取るんです。
子どもはいなくても、親や友人と8年会わないで平気なんて、あるでしょうか。

わかってくるのは、長い、なが〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い前巻が終わる頃、「教師」という職業が「天性」だと納得する頃でした。

ああ、教師だからなんだ。

思い返すと最初から、その辺りは示唆してあったのに、わたしが読み取れてなかったのかな。
思えば、教師という職業は、アメリカ社会では「成功」とは言えないでしょう。
なんたって給料が安い(らしい。キングは小説家になる前は教師で、それだけでは食っていけず、トレーラーぐらしでバイトしていたとか)。
すべてを「金銭の成功」ではかってしまうアメリカ社会では、一発勝負の職業ではないですよね。
でも、重要。
教師が子どもを導くのだから。
子どもはすべての大人の過去だから。

過去を変えることは、教師のしごと

なんですね。
本当に8年間、じっくり主人公ジェイク=ジョージと過ごしたようでした。
途中ジェイク<ジョージになったりしましたが、彼は過去を楽しみながらも染まらず、ずっと無辜の人のままでした。

唯一つ、彼女のことを除いては。

最後の旅が哀しすぎて、ちょっとメロドラマ的になっちゃいましたが、人が生きるってそういうことなんだよなあと。
誰とも関わらず生きていくなんて、できない。
元々人と関わることが大好きな「教師」なのだから。

そういう点で、アルは間違いない人材を選んだのでしょう。
そして、円環が閉じるように、読書という旅が終わりました。


ダンスは人生だ。





……わたしは踊れないんですけどね!




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Category : book
Posted by onion on  | 4 comments  0 trackback
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