FC2ブログ

oniondiary | 日記。時々映画やドラマや小説のレビュー。最近はなんとなく毎日書いてますが無駄話多し。

劇場公開映画「ノア 約束の舟」

ノア 約束の舟allcinema

語ろうとするとネタバレになるので、映画をご覧になる前の方にはすすめません。

ま、「洪水から種を救うためにノア(一派)が大きな船をつくる」って、ごくごくシンプルなストーリーなんですけどね。

それを二時間超「もたせる」ために、どんだけエンタメしてくれるのか? という興味と、ええ、ローガン=パーシー・ジャクソン=ラーマン君目当てもありまして、長男と二人で観てきました。

あにはからんや、ド直球でした。
嘘みたいに真摯、逃げてないなあと。
物語を(旧約聖書と思わず)真面目に受け止めれば、これは予想できる展開で、当然引き起こされる災害に押し流されてしまう人々を一人も救わず船のドアを閉めてしまうノア……それは、既にカイン族の域に入ってないか? 二つの勢力を分けた境界線は、既にないのでは?
思ってました、

新興宗教のよく言う「世界の終りが来るから自分らを信じてついてこい」の嘘を。

 「おろかな者たちだけが死んでいく」なんて都合のいいことは、起こらない。それは、わかっていても救おうとしない「未必の故意」でもあり、ネグレクトそのものなんだと。

それどころか、ノアは方舟に取り付いてくる人間たちをばったばったと「殺して」いきます。自らも殺人の罪を負い続ける存在、それが予言者なのでしょうか。
そのノアが、自らの家族の未来をも絶とうとするのは、当然と言えます。

ただ……そりゃあさ、アンタは神の偉業を達成して美しい妻との間に三人も子どもを作っていい加減年を取ってからだからいいかもしんないけど、子どもらは今からだというのにかわいそうすぎだろ……ええ、母の立場であるわたしなんか、

「お前は子どもたちのためならどんな罪でも犯すだろう」

とノアに言われて反論できないナーマの気持ちはよくわかるし。
基本的に人間は、自分とその家族を守るため、あるいは信念を通すためには人殺しもいとわない生き物なのだと、映画の途中でわかってしまうと、最後はなんとなくわかってしまいます。
イノセントな存在でいられない人類が、今も生き残って、今なにをしているか。

……映画にしない方が、良かったんじゃないかなあ。
これは舞台劇向きな気がします。
スペクタクルな部分をフラッシュや煙幕ではしょりつつ、役者たちの演技だけでこのドラマを見せつけられていたら、全体の評価も違ってきそうです。

でも、映画なんですよね。
派手です、確かに。
岩の巨人も出てきます。
一点の曇りもない空から降る一滴の水のあと、無から咲く花。
汚れきった人間たちの阿鼻叫喚。
一瞬にしてわき上がりうねり川になるさまや、青々と茂る森のざわめき。
「許され」天に帰る巨人たち。
ビジュアル的にはすごいと思いました。

が……実はスペクタクルなシーンが一番退屈でした。
ノア演じるラッセル・クロウの表情や、ローガン君演じる鬱屈した青年の焦りや、我が子を守ろうとするエマ・ワトソンの涙に、感動しました。
その直球な演技と、スペクタクルの嘘加減が、全くあっていなかったように思います。

特に洪水のシーン……あれって、洪水? 
いわゆる「震災スペクタクル」ではありませんでした。
完全に「神の御業」でした。
そうそう、Helvaさんがブログで書いてらっしゃいましたが、字幕では「神」と出ていましたが、終始「クリエーター」と言ってましたね。
創造主。
世界を作った存在が、「人間だけが失敗だった」と、リセットを敢行した……そのリセットをほかならぬ人間にさせる矛盾。
他の生き物では、「神の手先」になりえないのか?
人間が神の姿に似せて作られたから?

……やはり、宗教とファンタジー(スペクタクル)とが折り合わず、立ち位置が曖昧で、かえって主題がボケてしまったという、Helvaさんと同じ印象でした。
惜しい。
それなり面白かったけど、ニ度は……観たくないです。




あ、そういえば、ちょっと前に読んだ「11/22/63」で、50年代の典型的な黒人差別主義の白人男性が、「アイツらはノアの裸を見た恥知らずなヤツの子孫だから、オレらの召使いでいる運命になったんだよ、聖書読んでないのか?」とか言ってて、何を寝ぼけたこと言ってるんだか、と思っていたら、最後の方でそのシーンが出てきて、ちょっと笑ってしまいました。

所々、なんでこんなシーン? と思うところがあったので、ちゃんと聖書を読んでいる人なら、だいぶ印象が違うんでしょうねえ。



スポンサーサイト



にほんブログ村 映画ブログへ
↑映画の感想を読んだ人、気が向いたらポチッと。
Category : movie
Posted by onion on  | 2 comments  0 trackback
該当の記事は見つかりませんでした。