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oniondiary | 日記。時々映画やドラマや小説のレビュー。最近はなんとなく毎日書いてますが無駄話多し。

小説「鍵のかかった部屋」

以前読んだ貴志祐介さんのではありません。
ポール・オースターの初期小説です。



好きと言いながら、なんだかんだでわたしはこの作家さんがどういうひとなのか知らなかったりします。
知らない方が楽しめるとも、思うし。
なのでニューヨーク三部作の最後であるということも、読後知りました。
その第一作「幽霊たち」を読んだのももう何年も前なんで覚えてないし。

題はもちろん、ドラマの題で検索していて偶然ひっかかったんで、動機が不純というかどうでもいいというか、まあこれも縁があったと言うことなんでしょうが、思えばオースターのとはいつもそんな出会いをしているような気がします。

まず書店で手に取るのは、題名がわたしの好みだからかなあ。
「幽霊たち」「ムーンパレス」「孤独の発明」「偶然の音楽」……どれもを手に取るのに充分。
で、中身のストーリーは……普段はわたしが読まないような純文学的なものなんでしょうが……まったく退屈しない、「どこにもない国」(このの中で、行方不明の友人が残した小説の題です)が広がっています。
そしてなにより、文章が素晴らしいんです。翻訳文ですが、当に。
ストーリーに直接関係ない部分をちょっと……。

ファンショーの父親について(略)自分がかつて子供だったときの記憶をいっさい失ってしまった人、そういう印象を与える人だったのだ。ミスター・ファンショーは一分のすきもなく完全に大人であり、真面目な大人の問題に百パーセント没頭していた。彼から見れば、僕たちはほとんど、別世界からやって来た生物だったにちがいない。



子供から見た大人像を短くて簡潔な文章で語っていて、それでいて言葉の意味がしみ込むような一文です。
こういった直接的でありながら心に訴える文章に出会いながら、最後のページまで連れて行ってくれる……まさに、読者をおいてけぼりにしない、随伴者のような小説でした。

小説? まるで私小説のようにも見えます。
ストーリーでなく、心情は私小説的。
というか、というものはいつも「孤独の発明」から生まれ、「どこにもない国(ネバーランド)」に連れて行ってくれるものだと、を読む行為(あるいは生きていくこと?)がすべて、自分の頭の中の「鍵のかかった部屋」を生み出すことなのだと、教えてくれます。


良い本を読みました。


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Category : book
Tag :
Posted by onion on  | 2 comments  0 trackback

2 Comments

ひろこ says..."3部作"
「ホビット」も3部作になると決定したとか…。

最初から3部作の予定で書いた作品と、書いた後に構想が広がって3部作になる場合とありますがどっちなんだろう。レイ・ブラッドベリの「死ぬときはひとりぼっち」も3部作の一作目。図書館で借りて読みましたが、昔の作品を読んでいる人には嬉しい仕込みがありました。
2012.08.02 07:06 | URL | #- [edit]
onion says..."Re: 3部作"
>ひろこさん
「ホビット」3部作の上に最後の1作は前後編でつまり映画は4つになるとかいう噂もみましたね〜……な、長いな〜〜〜。

オースターのニューヨーク三部作がどのようにつながってるか、「幽霊たち」は忘れたし「ガラスの街」は未読だしでよくわからないんですが、3部作とかは、そんなにつながってない気がする……特にストーリーがw

>レイ・ブラッドベリの「死ぬときはひとりぼっち」も3部作の一作目。

そうなんですか? 知らなかったw
今読んでいますが、オースターの本を読んだあとでは、かなりウェットに感じますねえ。
でもそれもブラッドベリの世界、楽しもうと思っています。
2012.08.03 05:49 | URL | #- [edit]

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