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oniondiary | 日記。時々映画やドラマや小説のレビュー。最近はなんとなく毎日書いてますが無駄話多し。

劇場公開映画「真夏の方程式」

「真夏の方程式」

例によって、次男にメールでコナかけるわけです。
「ガリレオの新しい映画きてるよ、行く?」
なんてね。
でなければなかなか帰ってこないもので。
しかしおくったのはもう一週間も前なのに、いきなり昨日の夕方、

「今日で良い?」

とは……さすが「女を振り回す男」系。
慌てて長男とジェリーにメール、みんなで映画鑑賞となりました。


さて。
ガリレオの第2シーズンはイマイチだったのですが、映画の前作「容疑者Xの献身」は結構好きでした。
ところが、以前人と話していて、
「映画イマイチだったよね~」
と言われて驚いたことが。
「なーんか、湯川博士が添え物みたいで、カッコ良くなかったし。あの数式どこでも書き込みがなかったし」
……え、それって……TVのあの強烈な演出とカリスマ表現が好きってことか……。

そんな(もしかして普通の)ファンには、前作は地味な上に暗いだけで面白みに欠けたかもしれませんが、あの犯人が主人公である前作では、それは仕方ないかなと。
そして、本来の小説シリーズが、どちらかというと犯罪者の視点から観ているシーンが多くて、湯川博士は謎解きの「ツール」扱いかもな、と思ったくらいです……あ、小説は最初の短編集くらいしか読んでいません。

もしかして今回もそうかなあという懸念はあったんですが、今回はさすが、がっつり主人公してました。
それから他の配役も良かったと思います。
ただ……どこか人情ものに持って行こうとして、泣かせようとして、感動させようとして、観客に嘘をついている気がしました。

実はそんなに感動する犯罪ではないですよね。
犯罪は犯罪、そして隠蔽が要らぬ犯罪を生む……被害者をふやす。

図らずも、もろに二時間サスペンスのパターンになってしまい、そしてグダグダと言い訳のような犯人の動機が披露されるだに、ああもういい、いいからはやく終われよ、と最後には思ってしまいました。

湯川博士と少年のふれあいや、細かな人情と一夏の出来事が良かっただけに、締めをダルくしてしまった演出と脚本にガッカリでした。
ダイビングのシーンなんか、マジで要らなかったし。
色々キレのない映画でした。


出演人がなんか朝ドラかぶりが多かったですねえ。
琥珀の勉さん……出てきたとたんに○○○とわかる悲しさw
次の朝ドラ主演の杏がヒロインで、刑事役の吉高由里子は次の次の主演で……そのあたりの配役の「狭さ」が、映画の狭さにつながっちゃったかもしれません。


以下、ネタバレがありますので、注意!












「このままでは一人の人生がねじ曲がってしまう」
と湯川先生は言いましたが、すでにねじ曲がってしまった人生をきちんとやり直す機会は、この物語は与えません。
秘密をかかえたまま、あの一家はそれぞれ生きていかなければなりません。
そして、娘は本当の父に会えずじまいです。

本当の父を娘に会わせたくない

結局犯行動機は、「娘を守るため」と言いつつ、実はここにあったのだと、観ている人も感じるんだと思います。
だから後味が悪い。
娘の行った犯罪は、きちんと償えばやり直せるはずでした。
でも隠蔽し、秘密を守るために新たに罪のない人を殺しました。
罪のない子どもを共犯者に引込みました。
そして犯人の思いは達成されています。

娘は実父の居場所を知っても、育ての父への思いからあいにいけないでしょう。
それこそ「犯罪の成功」ではないのか?
犯人を捕まえること、トリックを見破ることがミステリーならば、それは完成しているけど、まんまと犯人が目的を達してしまっている……それは、良いことでしょうか?

良い悪いで判断をしない日本人だけど、わたしは許せません。
だからこの物語を美しいとは思わず、観終わった後味も悪いままでした。

後味の悪い映画は、嫌いです。
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Category : movie
Posted by onion on  | 2 comments  0 trackback

2 Comments

ひろこ says..."ガリレオ・シリーズ"
ネタバレOKな私は当然の如くONION様の感想を読んで、クリスティの「バートラム・ホテルにて」を思い出しました。あれはミス・マープルによって正義が貫かれるであろう(と予想させる)終わり方で、とても好きな作品です。

「真夏の方程式」以外の原作は(多分全部)読んでいるのですが、何時も思うのが「こんなめんどくさいトリックを考えているうちに実行するのが莫迦らしくならない犯人の動機理由は納得できるモノなのか?」です。私にはトリックを考えるのも、怒りを維持するのも無理だろうなぁ…。
2013.07.12 07:16 | URL | #- [edit]
onion says..."Re: ひろこさん"
> クリスティの「バートラム・ホテルにて」を思い出しました。

そうそう、基本にクリスティがあるんですよ、わたしも。
どこかで罪人はちゃんと裁かれて欲しいし、報われないストーリーは悲しいより怒りが込み上げてくるタイプで……復讐の女神かw

どこか日本文学は「滅びの美学」とか「秘めたる真実」が美しい、みたいな方向にもっていきがちなものが多くて、読後感の悪いのがあたりまえ、みたいなところがあるから、直情的なわたしはついつい日本の本は避けてしまう傾向にあるわけですが……この作家さんも(Amazonの書評を読んだ限りでは)その傾向があるようですねえ。

> 「こんなめんどくさいトリックを考えているうちに実行するのが莫迦らしくならない犯人の動機理由は納得できるモノなのか?」です。

だよね〜w
こんな複雑なこと考えるより、事故に見せかけて足引っ掛けるぐらいが一番簡単……と考えてしまうのは、「殺人は容易だ」的で、やっぱりクリスティに影響うけすぎかも。

そうそう、そういえば今回のトリック、数年前に起きた、秋吉台での宿泊施設の一酸化炭素中毒と同じでした。
実際の事故を取り入れるのも良いけど、関係者は見ていてフラッシュバックしてしまうんじゃないかと……「被害者の関係者」になるって、こういうミステリも見られなくなっちゃうのかな。
だとしたら、犯人の罪はそういう経験のない人たちからみたら信じられないくらい、複雑で重いものじゃないかと、ストーリーとは関係のないところで考えていました。

2013.07.13 09:22 | URL | #- [edit]

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