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oniondiary | 日記。時々映画やドラマや小説のレビュー。最近はなんとなく毎日書いてますが無駄話多し。

本「赤い右手」読了。

「赤い右手」



独特の文体に、最初はちびちびとしかすすまなかったんですが、ピースのコマが一つずつはまり始めると一気に読めました。

いやあ、確かに掟破り。
日本での発売は1997年ですが、元は1945年の作、既に古典ともいえるのに、これに類似した物語を読んだことも聞いたこともありません。
てことは真似しようのないオリジナル……もっと言えば、書いた本人にも他に書けなかった、「奇跡の一冊」なのかもしれません。

もちろん、田舎での連続殺人ものは、あります。
もっと猟奇的で、凄惨なものも。
けど、こんなに邪悪な「感じ」のするストーリーは……多分、一人称で語られるということに意味があるんだろうけど、翻訳だから元の文体はわかるわけもないのに、熱にうかされたような、切迫した書き手の空気、夏のじっとりとした夜気が漂ってきて、背中にシャツが貼り付く感じ……そう、すべては「感じ」が凄い。

かといって、言葉を尽くして心理描写をしているわけではなく、語り口は簡潔、ストーリー的には過去と現在を行き来して、読者にパズルのピースのようにヒントをわたしていく、堂々たる推理小説でもあるわけで、ミスリードの山の中から、ヒントを見つけたときのワクワク感も味わえるし、久々に読んでいて小説世界に浸れる推理ものでした。
掟破りも多々あるのでしょうが、最後は冷徹な殺人に戻る……そういえば、アガサ・クリスティに似ています。
殺人者の心理に寄り添う日本的なものがないので、読後感は爽やかです。

それにしても唯一無二。
そんなミステリーが、まだあるんですねえ!









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Category : book
Tag :
Posted by onion on  | 6 comments  0 trackback

6 Comments

マクノスケ says..."面白そう!!"
onionさんの記事を読んでいたらますます読みたくなってきました。
中古もあるみたいですよねえ。
amazonでポイント使って買っちゃおうかな~。
2013.07.26 11:33 | URL | #GWMyNl/. [edit]
Helva says..."思わず・・・"
ぽちってしまいました~
このところミステリづいていてSF はお休み状態
ミレニアムつながりでスウェーデンのミステリばっかり読んでいたんですが、onionさんのレビューを見たら矢も楯もたまらず読みたくなりました!
クラシックでまだそんな隠し玉があったんだ!
2013.07.26 23:21 | URL | #q6AO.T9M [edit]
onion says..."Re: マクノスケさん"
そう、わたしも中古で買いましたよ!
ハードカバーだけですからねえ、あと図書館にもあるんじゃないかと思います。このシリーズ、名作ぞろいみたいなんで、巻末の別の作家さんのも読んでみたくなってます。

2013.07.27 09:08 | URL | #- [edit]
onion says..."Re: Helvaさん"
> ぽちってしまいました~

いやあ、「本格」とはまたちょっと違うかもしれませんが、気に入られるといいなあ!
なにせ、何を書いてもネタバレになってしまうのが辛いところですが、巻末の訳者自身による詳細な分析が、一読の価値ありです。

「ミレニアム」、面白そうだとは思うんですが、映画を先に観ちゃったもんで、手を出せずにいます。
スウェーデンのミステリも(暗そうだけど)面白そうですよね。
この間「イギリスの」ドラマで「刑事ヴァランダー」と言うのを見ましたが、これもスウェーデンのミステリ原作で有名だそうです。
2013.07.27 09:12 | URL | #- [edit]
Helva says..."ヴァランダー、レックバリ、オールソン"
スウェーデンはミステリ大国だそうです。
ミレニアムの大ヒットで一躍有名になりましたがヴァランダーはその前からあるシリーズで邦訳もたくさん出ています。
なんて言ってますがついこの間第一話を買ったところです。
今読んでいるカミラ・レックバリの"エリカ&パトリック"のシリーズが終わり次第取り掛かります。面白ければまだまだ読めると内心期待しています。
ちなみにデンマークのエズラ・オールソンの特捜部Qのシリーズはクオリティが高いですよ。今文庫で2巻目まで出てますが一番は3巻目かな? 3,4とも図書館本で読みましたw
2013.07.27 10:18 | URL | #q6AO.T9M [edit]
onion says..."Re: Helvaさん"
> スウェーデンはミステリ大国だそうです。

へえ〜知りませんでした!
そういえば、ミステリというとイギリスかアメリカで、英語の翻訳が主の日本ではその他の国の小説はほとんど目にする機会もなかったですからねえ。
映画の力なんでしょうか、原作から国中のミステリも注目されるようになるとは……!

> ちなみにデンマークのエズラ・オールソンの特捜部Qのシリーズはクオリティが高いですよ。

ちょっとAmazonで見てみましたが、Xファイル……じゃないwコールド・ケースという感じでしょうか? おもしろそうです!
シリーズ物を続けるのもいいけど、こうして本から別の本へ、色々たぐっていくのも良いですねえ。
2013.07.27 13:57 | URL | #- [edit]

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