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oniondiary | 日記。時々映画やドラマや小説のレビュー。最近はなんとなく毎日書いてますが無駄話多し。

小説「ボトムズ」読了。



この本はなんで買ったか覚えていません……映画化されているわけでもないし、この作家の本は初めて読むし、けっして派手なヒキ文句もない。
けれど、読んで良かったと思える本です。

アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作ということですが、この作品は「ミステリー」というジャンルにとどめておいてはいけない「物語」です。

正直、出てきたとたんに犯人わかったし。
今の、シリアルキラーのいわゆる「プロファイル」を知っていたら、大体見当がつく犯人であまり衝撃はありませんが、なにせ物語の時代は1930年、大恐慌のさなかのアメリカ、南部テキサス州東部の小さな田舎町で、警察組織はなく主人公の少年の父が理髪店と農家の兼業として治安官をやっている状態、もちろん専門的な教育などうけていません。

読者は当然気づくわけです。ああ、なにしてんだよ、探すのはそっちじゃない……とやきもき。でも時代が時代だけに、人種差別や地域の孤立、はては汚物処理対策まで立ちはだかり、なかなか捜査はすすまず……。

多分ミステリー部分だけだと、たいして面白くない小説になったでしょうが、この本のキモはやはり、少年の成長物語なんですね。
そしてその部分が本当に輝かしく、繊細で残酷で美しい。
周りの人々も、まるで実在したかのように生き生きと生活し、労働し、家族を支える様が描かれて、冒頭の献辞、

父A・B(バド)・ランズデールと母オリータ・ランズデールの愛情に満ちた思い出に捧げる。二人は、大恐慌、不景気、単調な重労働、苦しい時間を、愚痴ひとつこぼさず乗り切ってきた。父母のような人間が増えることを願って。



……にあるように、作家本人の両親やその時代の人々の努力と研鑽によって今のアメリカ社会が成り立っているのだと、そしてそれは今の時代も、そうした市井の人たちによって支えられ作られているんだという、真摯な姿勢が垣間見えます。
だからこれは「ミステリー」というより「文学」なんでしょう。

それにしても文学にしては読みやすすぎるかもw
「南部のキング」といわれているのもわかる気がします。
最後はやめられなくなって、夜中の二時まで読んじゃいました。

いい本でした。
出会いに感謝(いつ出会ったか覚えてないけど)。



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Category : book
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