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oniondiary | 日記。時々映画やドラマや小説のレビュー。最近はなんとなく毎日書いてますが無駄話多し。

レンタルで映画「悪の教典」

「悪の教典」

前日に同じ監督の「藁の楯 わらのたて」を観ましたが……本当に同じ監督?というくらいに、出来が違うのはなぜでしょう?
いやもう酷かった、「藁の楯」。最初のうちはまあ迫力があったのに、「完全な悪をなぜ守るのか?」って問いをことあるごとに繰り返すだけの単調な話運びに、最後の方はもう辟易、早く終わらないかな〜とダレてました。

がっ、この「悪の教典」の面白さときたら!
こんなにエンタメしている殺人シーンも珍しい。それがゴロゴロ。
終いにヘラヘラ笑いながら、長男と楽しく観ました。
一人で観るもんじゃないですよね、これ。
家族や友人と、うわ〜! キャー! ってわーわー言いながら観る映画。
だから、観ているこっちがちょっと罪悪感を覚えるほどのエンタメ。

そーいや、これって前に試写会でタレントグループのだれかさんが泣いて途中退席したとかでニュースになった、アレですね。
まあ、この映画のシャレに隠された毒にあたっちゃったのかな。
人の命を軽く扱っているのは確かにそうかもしれないけど、事実、なんの落ち度もないのに殺されてしまうって、あるしね。

この映画、本当にあっという間に死んじゃいます。
つか、あっという間で良かったね、と言いたくなるくらい、簡単に死ねなかった人に同情しちゃう。
普通の邦画だったら死ぬ前のひと言を五分くらい言わせるところ、これは話の途中でポンっと殺してしまいます。最後のキメまでさせてくれません。
そして、死とはそんなものだと突きつけられます。

いいなあ、監督流石だなあ。

で、二つの映画の違いは、主人公じゃないかと。
「藁の楯」は悪人はどこまで行ってもアイコン、藤原竜也クンの演技はよかったけど、やっぱり添え物で主人公はSPの大沢たかおでした。
だから、どこまでも常識人目線、観客は正義の味方目線で観ています。
「悪の教典」は徹頭徹尾、伊藤英明扮する悪人そのものです。
人当たりのいい教師が実は殺人鬼……生徒を守るはずの先生が悪の手下、ってのが「バトルロワイアル」でしたが、この場合は悪そのものです。
そりゃもう、最強でしょう。

結局、この監督にはきっと悪が主人公の方が描きやすいんじゃないかと。
思えば三池監督の映画をこれまで観ていないのは、「ヤクザ映画の人」という思い込みがあったからかですが(ヤクザが嫌いなので避けている)、監督作のラインナップみると、なんとまあ、なんでもありの監督さんかw

この映画でも変にチープなグロシーンを入れていますが、この場合はそれも「おかしみ」の一つで、ハハっと笑えてしまうところが救いというより救いようがない自分自身のリアクションにかえってきて、殺人を楽しむことの背徳を突きつけられます。

そうだよ、「殺人の物語を見る」って、それだけで背徳じゃん。
どんなに真面目な作りでも、観客は悪を見つめて、それに魅入られてることに変わりはなくて。
ミステリーは人が殺されないと始まらないんだよね。
だから記号として死体を置く、エンタメとしてのミステリーも数多い。
そんな映画は批判されず、この映画が批判されるのは、殺される人々が生きているさまが最初に丁寧に描かれているからで、「殺される理由」があるミステリーの死体とは全く違うことがわかるから、殺された時にショックを覚える……人の命の重さを、どんなしかつめらしい映画より描いてみせているから、批判もうけるんじゃないかなあと。

「イヤイヤ、面白かったね!」と長男。
うん、面白かった! そういえばTっくんはホラー嫌いなのに、よく観たね。
「脅かしがなかったからね。音とかでビックリさせる演出とか、グロい描写とかなかったから、観やすかった」
……なるほど。
そういえば、グロい殺しかたでも、そのものな描写はなかった。
グロいシーンはチープな記号になってて、殺人者の過去もまるでスクリーンに映された映像のように儚くて幻想的で、説明はほとんどなかった。
基本は学校の中が丁寧に描かれていて、クライマックスまでを盛り上げる日常が積み上げられているような、淡々としたつくりでした。

実は、真摯な映画だったと思います。









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Category : movie
Posted by onion on  | 2 comments  0 trackback

2 Comments

Helva says...""
「悪の教典」……貴志祐介でしたよね。
貴志さんの小説は「新世界より」大好きでいろいろあさりましたが、「悪の教典」読んでいていささか辟易しました。
面白いんですよ、でも主人公の教師の気持ちに乗れなかったというか、こんなことしていったい何になる?という疑問が湧いてきて、あとはただ小説がどこまで自己拡張していくのかを見届けたいために一生懸命に読みましたw
映画は……多分見ないだろうと思います。痛快に生徒を次々に血祭に挙げていくのを見て快感を覚えるかな?ちと疑問です。
でも「ダークゾーン」が映画化されたら見に行くと思います。現実世界で行われるゲームの殺戮でもファンタジーなら許容範囲かと。
人がばたばた殺されるのを描くのは難しいと思います。重くも描くも軽く描くもどちらにも批判的な見方ができると思うので。
2013.12.18 00:49 | URL | #q6AO.T9M [edit]
onion says..."Re: Helvaさんへ"
> 「悪の教典」……貴志祐介でしたよね。

そうです。映画にもちょっとご出演されているみたいです。
多分、校舎近くのバス停にいたオジサンだと思いますが、よくわかりません。
確かに、悪趣味ではあると思うんです。
だから、人には薦められないというか……昨日ジェリーが観て「ワシもこの映画は嫌い!」と言ってましたw
ただ、観ている間は魅入られたようでした。なんでか、魅力あるんですよ、悪に。

原作は読んでないんですが、貴志さんは「ハッピーで終わらない学園モノを描きたかった」と言ってたそうで……ワン・シチュエーションで押し切る類いのお話だとは思うのですが、間間の三池監督の色で、深刻にならずにすんでいるというか、深刻にならないので後で観た自分に罪悪感が残るんじゃないかなと。

そして、観客にそう思わせられたら、映画としては成功じゃないかと思ってます。

> でも「ダークゾーン」が映画化されたら見に行くと思います。

それ、面白そうですね! 読みたいリストに入れます!<読むの遅いので追いつけない……。
2013.12.18 07:14 | URL | #- [edit]

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