FC2ブログ

oniondiary | 日記。時々映画やドラマや小説のレビュー。最近はなんとなく毎日書いてますが無駄話多し。

小説「ブリキの王女」





図書館で借りて読みました。
一巻「マハラジャのルビー」二巻「仮面の大富豪」のあと三巻「井戸の中の虎」がありますが、これは飛ばしました。なにせこの四巻は「外伝」で、サリーの物語はまあ、飛ばしてもいいかなと。粗筋読むに、全然自分好みではないと思ったので。



いやあ、単体で語れるといいんですけど、もう無理ってことで。

ジム

ジム・テイラーはこの人(この写真はジム役だし!)、マット・スミスで! この物語中では、ジムもマットの実年齢に近くなっていたんで、もううるうるしちゃった。
違いは「緑の瞳」ってとこくらいか……マットはグレーだもんね。

そしてヒロインアデレードは……

レネット

この、ドクター・フーのシリーズ2の名作「暖炉の少女」に出てきた、ソフィア・マイルズ演じる、レネット=マダム・ポンパドゥールで!

や~もう、読んでいて、彼女が立派に女王になっていくごとに、その姿がくっきりと脳裏のスクリーンに映画のように映し出されていました。

てことで、ドクター・ファンにはかなりオイシイ小説……


……で終わってはいけませんよねえ、やっぱ。


てことで、フィリップ・プルマンという作家。
ちょっと、つかかなりネタバレになるんで、ご了承くださいね。







一巻二巻を読んだ時にも思ったんですが……本当にジュブナイル書いているつもりか、ってくらい、主人公たちにキビシい試練を与えます。
それも社会的な、現代少女にとっては理解不能なんじゃないかと思うような、ヴィクトリア時代の女性の試練……ほとんど理不尽です。
それどころか、二巻ではいわゆる少女小説では普通やっちゃいけないようなことまでやらかしちゃいます。
少女に撮っての夢「that one」、運命の人を……

……ヒロインは打ち拉がれるわけです。

けど、そこでよよと泣き崩れるなかれ!
少女は立ち上がり、りっぱな女性に成長します。
女性……というより大人、ってことでしょうか。
何があっても自力で立っていられる、強い大人。

読んでいるこっちは、こんなにひどい目にあうんだから、どうか彼女に幸せになって欲しいと願いながら読みすすみます。
ところが、彼女は言うのです。

「わたしは、幸せになんてなりたくない」

と。
幸せはもろくて受身なものだから。
わたしは生き甲斐をみつけて活動していたい。
なすべき仕事を見つけたい。

いよっ、アニキ!! って感じですよね。
いわゆるハーレクイン的な、ボーイ・ミーツ・ガールではなく、自分が生きていく上でのパートナーとしての異性であって、愛に安定を求めていない……これを少女向けにガッツリ描いてしまう、この作家性に脱帽です。


そして今回のヒロイン・アデレードも、どん底に堕ちながらも心の優しさは忘れず、しかもたくましくなって皇太子妃になり、そして女王にまで上り詰めます。

で、上巻が終わるんです。

やだ、これで済むわけないじゃんね。
プルマンセンセイ、やらかしちゃう?
ええもちろん、そりゃもうあれこれと。
主要人物全員悲惨な目に……普通さあ、少女向けなら上巻でピリオド打つよ? めでたしめでたしでいいじゃんよ。
上巻で気に入ったあのキャラこのキャラ……えええええ~~~~ってなもんですよ。
ホント、容赦ないんだから。

そしてエンディングを迎えるわけですが……ありがちなどんでん返しはありません。あくまでシビアです。「悪人」がすべて裁かれるわけではありません。
でも最後の最後に残った一つ、それだけでもういいか。
あんなに苦労したんだから、これくらいいいじゃないの。

最後に愛が残っても。



……あれ? 少女の究極のハッピーがこれでしょ?
結局帰ってきたの?
ほんの「ご褒美」程度ですが。

今回は最初と最後にちらっとしか登場しない前回までの主人公サリーが言います。
「人生は静的なものではなく動的なもの」
と。
動きつづけることが大事ならば、ピリオドはまだ打てないはず。
これは「一応の最後」であって、これから主人公たちがどうなっていくかわからないってことでしょうかねえ。

物語の語り手のベッキーなどは、この体験は自分の凡庸な人生の彩り期間くらいだったと思っているでしょうが、プルマン世界に生きていたら、安寧はあり得ない……のかも?

シリーズはこれで終りらしく残念ですが、全員が幸せに……ではなく(紆余曲折あろうとも)、たくましく生きていくだろうことがわかって、読み手としては安心して本を置くことができました。








関連記事

Category : book
Posted by onion on  | 2 comments  0 trackback

2 Comments

Helva says..."プルマンいつか読みます!"
ソフィア・マイルズの写真にあっと惹かれました。というのも、昨日そのポンパドゥール夫人の巻を見たところなので!
onionさんのお薦めのお蔭でおそまきながらドクター・フーを見ているわけですが、NHKで見たときには気がつかなかった(チーズィーでチープだと思っていたので。。。)哀切極まりないシーンに痛く感動したわけです。
特に続いた10代目ドクターの2では"My Sarah Jane!"にノックアウトされましてw 
3ではジェニーの肖像の逆バージョンというか、あの手の話に弱いんですわ(萩尾望都のマリーンとか水野英子のセシリアとか)
思いもかけず「後味のいい」エピソードを続けてみてほこほこしていたところにこちらの記事で、またまた続きが見たくなったりして。
本未読のためにせっかく本のレビューを書いてくださったのにそちらにまともなコメントができなくてスミマセン!
2014.05.02 01:56 | URL | #q6AO.T9M [edit]
onion says..."Re: Helvaさんへ"
> ソフィア・マイルズの写真にあっと惹かれました。というのも、昨日そのポンパドゥール夫人の巻を見たところなので!

おおお! ジャスト・タイミングだったんですね!
わたしも昨日、見返してたんですよ、イメージ確かめるために……ホント、あの回は胸がキュンキュンするほど少女マンガ的(昔のね)でした。
そしてここでも待ち続けられてたのね、ドクター……罪作りすぎるわあ。

> NHKで見たときには気がつかなかった

そうなんですよね、一度でピンとこない物語が多くて、あとで見直すとそこここに細かい描写が……それに、吹替と原語ではかなり雰囲気が違って見えたりしてねえ。9thの渋さも、10thのナイーヴさも、英語で聴いてドはまりしましたよ!

> 特に続いた10代目ドクターの2では"My Sarah Jane!"にノックアウトされましてw 

そう、あの回はドクターにつきものの「別れ」がかなり踏み込んで描かれていて、泣けます。
サラ・ジェーン・スミスの単独キャラで「サラ・ジェーン・アドベンチャー」というTVシリーズもあるようなんですが、日本では完全スルーで残念……しかも役者さんはたしか昨年(だったかな)お亡くなりになったそうです。
残念ですねえ。

> コメントができなくてスミマセン!

いえいえ、読まれる機会があったら、ぜひ!
気に入られるかどうかはわかりませんが、わたしはそれこそ一昔前の少女マンガを読んでいるようなワクワクドキドキが味わえましたよ。
そうね、ちょっと「キャンディ・キャンディ」思い出したかも!

2014.05.02 10:16 | URL | #- [edit]

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://lukeskywalkercool.blog68.fc2.com/tb.php/1665-2252d495
該当の記事は見つかりませんでした。